強迫性障害は、薬物療法と精神療法で症状の軽減が可能です。
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強迫性障害とは、重要ではないことと自分ではわかっているにも関わらず、その行動をしないと実際はありえない悪い状況を想像してしまい、不安感に支配され、その不安を解消するために一見無意味で過剰と思われるような行動を自分の意に反して繰り返してしまう状態のことです。
自分で考えたくもない内容の考えが、繰り返し浮かんできて中々消せない強迫観念と、その不安を打ち消すためにする同じ行為を繰り返してしまう強迫行為からなります。
原因はっきりとした原因はわかっていません。ただ、真面目で完璧主義で細かいことが気になる神経質な人が発症しやすいともいわれております。
症状自分の考えや行動はおかしいと感じているものの不安感が抑えきれないため意味のない考えや行動を繰り返してしまう。
(1) 不潔恐怖
手の汚れが気になり、手や体などを何度も洗わないと気がすまない。電車のつり革を触ることが汚いと感じ、手袋をはめてつり革を触ったり、外出時の持ち物を外出して汚れたと思い、帰宅の度に毎回洗ってしまう。(2) 確認強迫
外出時に、家の鍵をしっかりかけたか、ガスの元栓を閉めたかなどが気になり、何度も繰り返し確認してしまう。(3) 数唱強迫
不吉な数やこだわりの数があり、その数を避けたり、その回数をくり返したりしてしまう。数字の4を死と関連付けてしまい、日常生活でこの数字に関連することを避けてしまう。(4) 縁起強迫
自分が宗教的に良くない行動をしてしまうのではないか、すでに冒してしまったのではないかと不安に駆られ、恥や罪悪の意識を感じてしまう状態です。例えば、寺、神社、教会で不信心な事を考えてしまい、罪を冒してしまうのではないか不安に感じてしまったり、ある特定の行為を行わないと病気や不幸などの悪い事柄が起きてしまうと考え、道を歩く時は右側通行をしなければならないなどのジンクスにとらわれたりしてしまいます。(5) 加害恐怖
自分の不注意などによって他人に危害を加える状況を異常に不安に感じてしまいます。例えば、車の運転をしていて、気が付かないうちに人をひいてしまったのではないかと考えてしまい、その場所に確認に戻り何度も確認してしまうなどがあります。(6) 疾病恐怖
重症な病気にかかってしまうのではないか、またはすでにかかってしまったのではないかと極度に不安に感じてしまう状態です。(7) 不完全強迫
物を順序よく並べたり、左右対称性にこだわったり、決めた通りの位置に配置しないと気になり、その通りにならないと不安を感じてしまう。例えば、自分の部屋の物が決めた通りの場所に置いてないと不安を感じ、これを常に確認し、何度も直そうとします。物事が最初から決めた順序の通りにいかないと不安になり、順序通りにいかないと最初から何度もやり直したりしてしまうことがあります。(8) 保存強迫
つい大切な物を捨ててしまうのではないかという恐怖感から、大半の場合はいらない物とわかっているが、家に貯めこんでしまいます。(9) 被害恐怖
自身で自分に危害を加えてしまうのではないかと感じたり、ほかの要因で自分に危害が生じるのではないかと常に不安に感じてしまいます。例えば、自分で自分の体を傷つけてしまうのではないかなどの不安に襲われ、鋭利なものを異常に遠ざけてしまうなどの行動をとってしまいます。上記のような強迫観念、強迫行為は自分を疲弊させてしまうため、このような症状を引き起こすような状況を避けようとして生活の幅を狭めてしまい、ひどい場合、ごく狭い範囲でしか生活できなくなり、引きこもりがちになり、仕事や学業を続けられなくなってしまいます。
また、強迫行為を自分だけでなく周囲の人に強要することもあるので、患者のみならず周囲の人も疲れきり困惑する例もあります。
診断基準強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)のDSM-5の診断基準
A. 強迫観念、強迫行為、またはその両方の存在
(1) 反復的で持続的な思考・衝動、または心像であり、それは症状のある期間の一時期には侵入的で望まないものとして体験されており、多くの人に強い不安や苦痛を引き起こすことがある。
(2) その人は、この思考・衝動、または心像を無視したり、または何か他の思考または行為(強迫行為)によって中和したりしようと試みる。
(3) 反復行動(例:手を洗う、確認する、順番に並べる)または心の中の行為(例:祈る、数を数える、心の中で言葉を繰り返す)であり、その人は強迫観念に反応して、または厳密に適用しなくてはならない規則に従ってそれを行うように駆り立てられていると感じる。
(4) その行動や心の中の行為は、不安または苦痛を予防したり緩和したり、または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としている。しかし、この行動や心の中の行為は、それによって中和したり予防したりしようとしている事とは現実的関連を持っていないか、または明らかに過剰である。
B. 強迫観念や強迫行為が時間を浪費させているか、臨床的に意味のある苦痛、または社会的・職業的・他の重要な機能の障害をもたらしている。
C. 物質または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
D. 他の精神疾患の症状ではうまく説明できない。
治療(1) 薬物療法
セロトニン系に作用する選択的セロトニン再取り込み阻害薬が使用され、強迫観念の抑制に効果があるといわれております。セルトラリン、エスシタロプラム、パロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミンなどが推奨されています。また、クロミプラミン(強力なセロトニン作動性の作用を有する三環系抗うつ薬)も時折使用されています。
上記の薬剤でも十分な改善がみられない場合には、非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、リスペリドン)などの併用による増強療法が有効であるといわれております。
(2) 認知行動療法:曝露反応妨害法
曝露反応妨害法は、曝露法と反応妨害法を一緒に行う手法です。曝露法とは、不安を引き起こす状況にあえて患者に立ち向かってもらい、立ち向かうことで不安や苦痛を自然に減らしていく技法です。また反応妨害法とは、不安や不快感が発生してもそれらを低減するための強迫行為をとらないようにする方法です。不安階層表に従いながら、不安の程度の低いものから暴露法と反応妨害法を開始し、時間をかけてこの技法を行うことで不安は徐々に軽くなっていきます。
例えば、不潔恐怖の人が、便座など汚いと思うものに実際に触ってみて、手を洗わないように訓練していきます。
曝露によって、苦痛や不安に慣れてきて、その後自然と苦痛や不安が減っていく過程を馴化といいます。
最初は強い不安を覚えても、回数を重ねるほど不安の程度は下がっていきます。その結果、以前の強い不安な状況に曝されても、不安は自然になくなるものだということが認識でき、不安がなくなれば強迫行為をする必要もなくなります。
曝露反応妨害法とは、苦痛を取り除く治療ではなく、苦痛になれるための治療です。
ただし、これを習慣化するためには通院して治療を受けるだけでは回数が少なく、自宅でも行うことが大切になります。
強迫性障害は、上述したように過度の緊張や不安を打ち消すため確認行為をしてしまい学校生活や仕事など日常生活に支障が生じてしまいます。
当院でも診察させていただき必要であれば薬物療法をおすすめさせていただきます。また、曝露反応妨害法、認知行動療法については、当院と提携している多数の心理士が在籍するあいち保健管理センターにご紹介させていただきます。
ご不明な点がございましたらご遠慮なくお問い合わせください。
いなざわ駅前内科クリニックでは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病をはじめ、頭痛、脳卒中、パーキンソン病、認知症、てんかんなどの脳神経疾患、不眠症、うつ病、適応障害、アルコール依存症、不安症、強迫性障害などの精神疾患・メンタルヘルスの問題に対応しております。一宮市、名古屋市、稲沢市、岐阜市、清須市、岩倉市、津島市、愛西市、あま市、北名古屋市など、幅広い地域から多くの患者様にご来院いただいております。稲沢市で内科・脳神経内科・心療内科・精神科をお探しの方は、いなざわ駅前内科クリニックへお気軽にご相談ください。
