適応障害からうつ病への移行を予防することが大切です。
適応障害とうつ病は、どちらも抑うつ症状を呈し、共通点が多いため、現在の状態がどちらに当てはまるのか分かりにくいことがあります。両者は精神的症状や身体的症状が似ている点では共通していますが、発症の原因や、ストレスから離れた後の経過に違いがあります。
ここでは、原因、症状、持続期間の違いについて説明します。
■ 原因
適応障害は、明確なストレス要因をきっかけに発症します。例えば、過度な業務量、人間関係のトラブル、学校の成績不振、受験、引っ越し、転職など、環境や状況の変化に適応できず、心身に強い負担がかかることが原因となります。
一方、うつ病は、明確なストレス要因がなくても発症することがあります。性格傾向、遺伝的要因、環境要因などが複雑に関与して発症するため、原因を特定することが難しい場合が多いです。
■ 症状
適応障害の症状は、ストレス要因と密接に関連しており、その要因から離れると、症状が徐々に改善することが特徴です。例えば、仕事に行く前には頭痛、吐き気、めまい、抑うつ気分が出現する一方、休日には外出して楽しめる場合もあります。
主な症状としては、ストレス要因に対する過度の不安や抑うつ気分、苛立ち、集中力の低下などがみられます。また、不安や焦りが強まることで、突然大きな声を出したり、泣き出したりするなど、感情の揺れがみられることがありますが、これらはうつ病ではあまりみられません。
うつ病では、ストレスから離れても症状が改善しにくく、気分の著しい落ち込み、興味や喜びの喪失、希死念慮などが、日常生活の多くの場面で持続的にみられます。また、自分を強く責めてしまう傾向(自己罪責感)が目立つ点も特徴で、適応障害ではあまり認められません。
■ 持続期間
適応障害の症状は、通常ストレス要因が生じてから3か月以内に出現し、その原因が解消されると、6か月以内に改善することが多いとされています。適切な治療を行うことで、回復はさらに早まります。
一方、うつ病では症状が長期間持続することが多く、少なくとも2週間以上続き、その後数か月から数年に及ぶこともあります。慢性化や再発のリスクが高い点も特徴です。
■ 診断基準(参考)
● 適応障害の診断基準(DSM-5より一部改変)
以下のA~Eすべてを満たす場合に診断されます。
A. 明確に確認できるストレス因に反応し、その始まりから3か月以内に情動面または行動面の症状が出現する
B. 症状が臨床的に意味をもち、以下の(1)または(2)のいずれか、もしくは両方を満たす
(1) ストレス因に不釣り合いな著しい苦痛がある
(2) 社会的、職業的、またはその他の重要な領域における機能障害がある
C. 他の精神疾患の診断基準を満たさず、既存の精神疾患の単なる悪化ではない
D. 正常な死別反応ではない
E. ストレス因またはその結果が終結した後、症状が6か月以上持続しない● うつ病の診断基準(DSM-5より一部改変)
以下の(1)または(2)のいずれかを含み、合計5つ以上の症状が2週間以上持続する場合に診断されます。
(1) ほとんど毎日の抑うつ気分
(2) ほとんど毎日の興味・喜びの著しい減退
(3) 著しい体重減少または増加、食欲の減退または増加
(4) 不眠または過眠
(5) 精神運動性の焦燥または制止(他者が観察可能)
(6) 易疲労性、気力の減退
(7) 無価値観、または過剰で不適切な罪責感
(8) 思考力や集中力の低下、決断困難
(9) 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図■ 治療
(1) 環境調整・休養
適応障害では、原因となるストレス要因から離れる環境調整が最も重要です。業務量の調整、配置転換、休職などが検討されます。
うつ病においても、明確なストレスが不明な場合でも、まずは心身を休める環境を整えることが大切です。(2) 薬物療法
抗うつ薬による治療は主にうつ病に対して行われます。不安や睡眠障害が強い場合には、抗不安薬や睡眠薬を併用することがあります。
適応障害では環境調整が基本ですが、症状が強い場合には薬物療法を併用することもあります。(3) 精神療法(認知行動療法など)
認知行動療法は、出来事に対する考え方の偏りを修正し、ストレスへの対処力を高める治療法です。薬物療法と同等、あるいはそれ以上の効果があるといわれています。■ 適応障害からうつ病に移行することはあるか
適応障害からうつ病へ移行するケースは少なくありません。経過観察中に診断が変更されることもありますが、初期からうつ病であったのか、適応障害が悪化してうつ病に至ったのかを明確に区別することは難しい場合が多いです。
いずれにしても、うつ病へ移行すると治療が長期化する可能性があるため、早期診断・早期治療が重要です。当院でも適応障害、うつ病の治療を行っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
いなざわ駅前内科クリニックでは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病をはじめ、頭痛、脳卒中、パーキンソン病、認知症、てんかんなどの脳神経疾患、不眠症、うつ病、適応障害、アルコール依存症、不安症、強迫性障害などの精神疾患・メンタルヘルスの問題に対応しております。一宮市、名古屋市、稲沢市、岐阜市、清須市、岩倉市、津島市、愛西市、あま市、北名古屋市など、幅広い地域から多くの患者様にご来院いただいております。稲沢市で内科・脳神経内科・心療内科・精神科をお探しの方は、いなざわ駅前内科クリニックへお気軽にご相談ください。
