髄膜炎は、早期診断・治療で治癒できることが多いです
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髄膜は、脳や脊髄の表面を包み込み保護しており、脳に近い方から軟膜、クモ膜、硬膜の3層になっており、軟膜とくも膜の間には脳脊髄液という液体があります。何らかの原因で髄膜に炎症が起こった状態を髄膜炎といいます。
髄膜炎は、原因にもよりますが致死率が高くないことが多いです。しかし、細菌性髄膜炎など重症化しやすい髄膜炎ですと、症状が進行すると意識障害など重度な後遺症が生じ、死に至ることもあります。髄膜炎は、早期発見、早期治療で重症化を回避できる病気です。原因
① 細菌性髄膜炎
髄膜炎を起こす細菌としてインフルエンザ菌、髄膜炎菌、肺炎球菌などがあります。
② ウイルス性髄膜炎
髄膜炎を起こすウイルスには、エンテロウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなどがあります。
③ 真菌性髄膜炎 クリプトコッカス、カンジタなどがあります。
④ 寄生虫性髄膜炎 広東住血線虫などがあります。
⑤ 非感染性髄膜炎
・癌性髄膜炎:癌細胞が髄液中に入り込むことで髄膜に炎症を起こす。
・自己免疫性脳炎:免疫系が自己抗体を作り出し、脳や髄膜の細胞を攻撃して引き起こす。
・薬剤性無菌性髄膜炎:きわめて稀ですが解熱鎮痛薬・抗生物質・ワクチンなどにより生じる。症状
髄膜炎に最も多い症状は発熱、頭痛であり、初期症状は、軽い頭痛や倦怠感など風邪のような症状の場合も多く、単なる体調不良・風邪と自己判断して、放置してしまうことも少なくありません。ただ、細菌性髄膜炎であれば、進行して意識障害、高熱、激しい頭痛、痙攣など重症化してしまいます。また、項部硬直といって首の筋肉の緊張、硬直により首を他動的に曲げられないなどの所見は、診察してわかるもので髄膜炎に特徴的にみられます。他には、羞明(通常は不快に感じない程度の光でも眩しく感じる状態)や音恐怖(音に過敏になり通常の音でも耐えられない状態)などがあります。検査
① 髄液検査
腰から針を刺して髄液を採取し、髄液の色や糖の値、蛋白量、乳酸値、白血球の数などを調べ、髄膜炎の診断をします。髄膜炎の診断がつけば、原因を調べるために、髄液の中にウイルスや細菌などの有無を確認するために、細菌の培養検査、ウイルスの髄液中の抗体価、ウイルスの遺伝子検査を行います。
② 血液検査
体内の炎症反応や脱水症を調べるため検査で、これのみで髄膜炎の診断はできないです。
③ 頭部画像検査
髄膜炎以外の異常所見の有無を調べるために行います。また、髄膜炎で脳圧が高いと、髄液検査を施行すると脳ヘルニア(脳圧により脳組織が圧迫され損傷が生じること)が起きる可能性が高いために髄液検査前に頭部画像検査で脳ヘルニアの有無を確認します。治療
① 細菌性髄膜炎の場合 原因となっている細菌が不明な治療当初は、様々な細菌に効果のある抗生剤を投与し、原因となっている細菌が分かり次第、最も適した抗生剤に変更する。② ウイルス性髄膜炎 ウイルスには抗生剤は効かないため、水分の補充などを点滴で行い、対症療法を行います。ただ、一部の種類のウイルス(ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス)が原因と疑われる場合には、各々のウイルスに適した抗ウイルス薬が投与されます。
③ 真菌性髄膜炎 アムホテリシンBなどの抗真菌薬を高用量、長期間投与して治療します。
④ 寄生虫性髄膜炎 広東住血線虫による髄膜炎を伴う神経感染症は,鎮痛薬,コルチコステロイドのほか,頭蓋内圧亢進があれば頻繁な髄液除去により治療します。
⑤ 非感染性髄膜炎
・癌性髄膜炎: 抗癌剤の全身投与、抗癌剤の髄腔内投与、放射線治療などがあります。
・自己免疫性脳炎:免疫抑制作用のあるステロイド、免疫抑制剤、血漿交換療法などがあります。
・薬剤性無菌性髄膜炎:薬剤の中止髄膜炎は、原因により症状の程度の幅が大きく、症状が微熱と軽い頭痛程度で、感冒と診断され、いつの間にか自然に治っているという場合や診断もつかないうちに治ってしまう症例も多く、一方では、高熱、意識障害、全身痙攣などが生じる場合もあります。
髄膜炎は、原因によっては重度の症状、後遺症、死に至る場合もあり、軽視をしてはいけない病気です。しかし、適切な処置を迅速に行うことで、治癒が可能なことも多いと言われております。早期診断には、項部硬直など特徴的な所見を見逃さないことが重要です。
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