基礎知識

Disease Basics
診療案内

レビー小体型認知症は、誤診しやすく慎重な診断、治療が重要です。

レビー小体型認知症はレビー小体というたんぱく質が神経細胞にたまって、認知症などのさまざまな症状を示す疾患です。

症状の中核的な特徴
① 日時によって症状がよくなったり悪くなったり認知機能が変動します。ただし、物忘れの症状は病気の初期段階では目立ちにくい場合もあります。
② 実際に存在しない人や物体、動物などが存在するように見える幻視があり、他の認知症と異なり、初期段階から現れやすい特徴があります。
③ 手足の震えや筋肉のこわばり、動作が緩慢になるなどのパーキンソン症状があります。
④ レム睡眠行動障害と呼ばれる睡眠時に大声で叫んだり、手足を大きく動かしたりする睡眠時の行動の異常です。人間の睡眠は、夢を見るレム睡眠と大脳を休めるノンレム睡眠を繰り返し、この異常行動はレム睡眠のときに起こることが特徴です。レビー小体型認知症の患者の中には、認知機能の低下などが生じる前にレム睡眠行動障害が生じる人もいます。

その他の症状
• 精神病薬の薬剤過敏性(指定の用量以下でも副作用が強くでたり、怒りやすくなったり、興奮状態になったりします。薬によってはパーキンソン症状の悪化を招くこともあります。)
• 立ちくらみやめまい、便秘、尿失禁、失神など自律神経症状
• 嗅覚異常
• 幻視以外の幻覚
• 被害妄想(盗られていないのに物を盗まれたと思うことなど)や誤認妄想(鏡に映った自分を自分でないと感じることなど)などの妄想
• 無気力(アパシー)
• 不安
• 抑うつ状態

診断
上記の特徴的な症状に加えて、他の認知症を鑑別するために頭部MRI画像、脳のドパミン系をみるドパミントランスポーターSPECT検査、MIBG心筋シンチグラフィという自律神経機能を評価する検査、レム睡眠行動障害など特徴的な異常所見の有無を確認するための睡眠時の脳波検査など併用して高い信頼度で診断が可能です。

治療
現時点では、レビー小体型認知症の根本的な治療法はありません。認知症症状、パーキンソン症状、睡眠障害など、それぞれの症状を軽減させる治療法を適切に組み合わせて治療します。認知症の症状に対する薬としては、アルツハイマー病でも使われるドネペジルという薬を使用します。

レビー小体型認知症は、症状が似ている以下の疾患と診断されることがあります。
・パーキンソン病
レビー小体型認知症の症状の中のパーキンソン症状のみに注目してしまいパーキンソン病と診断される。
・うつ病
ぼんやりとしているなどの意識レベルの低下や意欲低下から診断される。
・その他の精神疾患
幻視とそこからくる異常な言動により診断される。
・アルツハイマー病
認知機能の低下により診断される。

レビー小体型認知症であるにもかかわらず初期診断に誤りがあった場合、適切な対応が遅れ、症状が悪化する可能性もあるため注意しましょう。

誤診があるとレビー小体型認知症の特徴である精神病薬の薬剤過敏性による症状の悪化の例
初期の幻視による言動異常、妄想の訴えの患者が受診
         ↓
統合失調症、妄想性障害などとみなされ抗精神病薬を処方され内服
         ↓
レビー小体型認知症の薬剤の過敏性から興奮状態の悪化
         ↓
興奮状態を抑えようとして抗精神病薬の増量
         ↓
意識障害、傾眠傾向、パーキンソン症状の悪化

慎重に診断、治療をしないと上記のように最悪な結末を招きます。誤診を防ぐため、認知症に詳しい専門医を選び、周囲の方は本人に表れた特徴的な症状をしっかり伝えましょう。
脳神経内科は脳神経系の総合診療医のような役割を果たしていますので、レビー小体型認知症でみられるさまざまな症状を的確に把握し、適切に治療します。気になる症状のある方は、脳神経内科医の在籍する当院にご遠慮なくお問い合わせください。




いなざわ駅前内科クリニックでは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病をはじめ、頭痛、脳卒中、パーキンソン病、認知症、てんかんなどの脳神経疾患、不眠症、うつ病、適応障害、アルコール依存症、不安症、強迫性障害などの精神疾患・メンタルヘルスの問題に対応しております。一宮市、名古屋市、稲沢市、岐阜市、清須市、岩倉市、津島市、愛西市、あま市、北名古屋市など、幅広い地域から多くの患者様にご来院いただいております。稲沢市で内科・脳神経内科・心療内科・精神科をお探しの方は、いなざわ駅前内科クリニックへお気軽にご相談ください。