基礎知識

Disease Basics
診療案内

アルツハイマー型認知症の患者様への対応で介護者の負担を軽くすることが重要です。

アルツハイマー病では、脳にアミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積したり、リン酸化タウと呼ばれるタンパク質が塊を作って神経原線維変化といわれる病変が長い年月を経て徐々に出現し、神経細胞を障害し脳が萎縮していく疾患です。 アルツハイマー病により記憶障害(特に近時記憶の低下)、見当識障害(時間、場所、人の認識障害)、実行機能障害(物事を計画したり、順序立てて行動することができない)、言語機能障害(言葉の理解や表現が困難になる)、視空間認知障害(空間認識、方向感覚、距離感などの把握が難しくなる)などで日常生活に支障をきたす程度まで症状が進行するとアルツハイマー型認知症と診断されます。ただ上記の様々な症状のため家族など介護者に大きな負担がかかることも少なくありません。


アルツハイマー型認知症の症状の困りごと

①同じことを何度も繰り返し聞いたり話したりする。
同じことを何度も繰り返されることに付き合うことは介護者の負担になり、不快に思ったり、時には怒りを覚えてしまうこともあります。ただ、この場合、本人に同じ話を繰り返していると指摘したり、注意したりすると不快に思ったり、怒られたと感じ、ふさぎ込んだり、これが継続すると抑うつ状態になったりします。したがって、介護者は繰り返す話題に怒らず、出来るだけ付き合ってあげることが大切です。ずっと付き合うことが苦痛になれば、本人の興味がある違う話題に変えて話をしてみることも良いかと思います。

②約束事など大事なことをすぐ忘れてしまう。
約束など大事なことがある場合は、本人がよくわかる場所に大きく書いた紙を貼りつけたり、カレンダーなどを使って、確認出来るようにしておくことがよいです。 また持っているものを忘れて同じ物を買ってしまう場合も、本人が良く見る場所に、家にあるものを書いて貼りつけたり、買い物する時は必要なものだけをメモに書いて渡すことが役立ちますが、それでも同じものを買うことが防げなければ買い物は本人だけなく、家族や介護ヘルパーなどに付き添ってもらえるようにすることも必要です。

③薬の飲み忘れ
薬の飲み忘れや薬の過剰摂取など危険な状態になる場合もあるので、薬の管理は重要です。1回分をまとめてカレンダーなどに貼って、飲み忘れがないように工夫をしたり、本人のみで薬の管理することが難しければ、家族、介護ヘルパー、訪問看護師などが飲むまでを確認することも重要です。

物盗られ妄想
物盗られ妄想とは、認知症でみられる大事な物を盗られたと訴える症状です。多くは財布や現金、貯金通帳など財産に関連するものを盗まれたと思い込んでしまいます。
犯人扱いされると気分が悪く、否定したくなりますが、まずは、肯定も否定もせず「それは大変だね。一緒に探してみましょう。」などと声掛けし、落ち着いて話を聞くことが大事です。本人を否定しても関係が悪循環となり解決しません。一緒に探して見つかった場合は「よかったね」など、肯定的な声かけをすると効果的です。物盗られ妄想が出ている時には、興奮している事が多いので、探しながら本人の興味のある話をしてみて注意をそらすこともよいです。

⑤介護拒否
認知症の方は、介護を嫌がり抵抗されたりすると介護者や家族は、対応に困ったり途方に暮れたりします。ただ、嫌がる理由は様々ありますのでその理由を聞き、本人が安心して介護を受けてもらうことが重要です。
介護を無理強いせず、嫌がる理由を本人に聞いたり、以前の生活習慣と現在の生活を比べて介護拒否の理由を考えてみることが必要です。 認知機能の低下で理解力や判断力が落ちていることが考えられるので、介護を行う時は、何のために何を行うかをわかりやすい表現で説明することも大切です。介護拒否の根底には不安感があることがほとんどです。本人が、納得すれば不安感は解消され、本人が安心して介護を受けられるようになります。 認知症の方は介護者とは違う価値観や認識を持っていることも多く、介護の必要性や意味を押し付けるのではなく、相手の価値観や考え方、生活習慣を理解する努力をすることが介護を受けてもらえるようになることにつながっていきます。

⑥徘徊
徘徊とは家の中や外を絶えず歩き回ることですが、一見他者には意味がわからない行動に見えますが、本人にとっては、はっきりとした目的がある場合が多いのです。それゆえ、徘徊を無理やり止めたり、責めるような口調で注意したりすると本人にストレスを与えたり、逆に興奮状態に収支がつかない状況になりますので注意が必要です。その場合は、落ち着くまで一緒に歩いたりして、気持ちを落ち着かせることも大切で、徐々に気持ちが落ち着いてくると、自分から部屋や家に戻る場合もあります。デイサービスなど外部サービスで出かける習慣があると、家では落ち着くことがあり、家族の負担を軽くする手段になります。家の中での徘徊は安全対策を立てることはできますが、外に出ての徘徊は、事故や行方不明という事態になる可能性も出てきますので注意が必要です。外に出てしまう方には、玄関の鍵を手の届かない場所に付けかえておくこともひとつの方法です。窓を開けて出ていく人もいるので、その場合は窓の鍵も開けにくいものに変える工夫が必要です。徘徊が発生すると、行方不明や事故の心配など、家族の精神的負担も大きくなります。事故や行方不明になった場合も考えてGPS機能の付いた携帯用の機器などを持たせたり、服などに名前と連絡先を書いた名札のようなものをつけておくのも効果的です。近所の方や交番、民生委員などにもあらかじめ事情を伝えておき、外で見かけた場合には家族に連絡が来るよう手配しておくことが重要です。 認知症についてご不明な点がありましたら当院にご遠慮なくお問い合わせください。




いなざわ駅前内科クリニックでは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病をはじめ、頭痛、脳卒中、パーキンソン病、認知症、てんかんなどの脳神経疾患、不眠症、うつ病、適応障害、アルコール依存症、不安症、強迫性障害などの精神疾患・メンタルヘルスの問題に対応しております。一宮市、名古屋市、稲沢市、岐阜市、清須市、岩倉市、津島市、愛西市、あま市、北名古屋市など、幅広い地域から多くの患者様にご来院いただいております。稲沢市で内科・脳神経内科・心療内科・精神科をお探しの方は、いなざわ駅前内科クリニックへお気軽にご相談ください。