基礎知識

Disease Basics
診療案内

病気で長期休職により経済的に困窮されている方へ

病気のため長期間働けなくなり経済的に困窮されている方のための障害年金とは? 
障害年金は、国が提供する公的な年金制度の一部で、病気やけがなどによって働くことや日常生活に支障が出た場合に、経済的な支援を受けることができる制度です。
この年金は、日本国内で公的年金(厚生年金や国民年金)に加入しているすべての人が対象となり、一定の条件を満たすことで受給資格が得られます。

・対象疾患
うつ病、双極性障害、統合失調症、気分障害、アルツハイマー病や認知症、脳梗塞後の精神疾患などの器質性精神障害、てんかん、知的障害、発達障害は、障害年金の支給対象になります。
ただし、人格障害(パーソナリティ障害)と神経症は認定の対象にならないと定められており、パーソナリティ障害、境界性・分裂病型などの人格障害、不安神経症、不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、パニック障害、社交不安障害、恐怖症、強迫性障害、心気症、ヒステリー、転換性障害、解離性障害、離人性障害、解離性同一性障害、気分変調症などになります。

・障害年金を受給するためにはおおまかにいうと3つの条件を満たしている必要があります。
(1)初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
若しくは、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
(2)障害の程度が日本年金機構の定める基準に該当していること
(3)精神疾患による初診日から1年6カ月以上が経っていること

障害年金を受け取るメリット

(1)経済的な不安やストレスが軽減される。
年金という安定した定期的な収入を得て経済的困窮が原因の不安やストレスは軽減され、病状が改善する可能性があります。

(2)国民年金保険料の支払いが法定免除になる。
障害年金の1級または2級を受給すると、国民年金の支払いは免除となり、これを法定免除といいます。
ただし、法定免除の対象は国民年金第1号被保険者のみです。会社勤めをしている厚生年金加入者や公務員の第2号被保険者、その第2号被保険者に生計維持されている配偶者である第3号被保険者は法定免除の対象外となります。

(3)就労していても受け取れることがある。
精神疾患での障害年金審査では、就労すると日常生活能力が向上したと判断され、障害年金不支給とされる可能性があります。ただ、障害者雇用など一定の援助や配慮のもとに就労している場合は、障害年金を受け取りながら就労することができます。

(4)年金の使い道は自由で制限なし。
受け取った年金の使用用途に制限はなく、旅行や自動車や自宅の購入も可能で、貯蓄に回すこともできます。

(5)生活面でのサポートや治療法の選択肢が広がる。
障害年金を使い、生活支援サービスを利用できる生活面のサポートや医師の診療やカウンセリングも利用できて治療法の選択肢も広がります。

(6)受給していることが周囲に知られることはない。
特別な事情がないかぎり障害年金の受給が知られることはありません。

(7)将来の老齢年金が目減りすることはない。
障害年金を受給することで、将来受け取る老齢年金が減額されることはありません。
ただし、法定免除を選択した期間については半額を支払ったとみなして計算されますので、将来受け取る老齢基礎年金にも半額反映されます。

(8)障害年金に税金はかからない。
障害年金は非課税所得なので、他に収入がなければ税金はかかりません。

(9)20歳以降の障害には所得制限はない
障害年金には基本的に所得制限はありません。会社から給与を受け取っていても、不動産から家賃を受け取っていても減額されることはありません。
ただし、20歳前に傷病になった場合の障害基礎年金は、本人が保険料を納付していないことから、所得制限が設けられています。

障害年金を受け取るデメリット

(1) 障害基礎年金受給者本人の死亡後に妻や家族へ支給される寡婦年金と死亡一時金が受け取れなくなることです。
寡婦年金は、自営業者等など国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての納付済期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が年金を受けずに死亡したとき、その夫に生計を維持されていた婚姻期間が10年以上ある妻に、60歳から65歳までの間に支給される年金です。

死亡一時金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったとき、その方と生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)が受けることができるものです。

(2)配偶者の扶養家族となっているケースでは、年金とその他の所得額が合計180万円を超えると、扶養範囲から外れることになります。この場合、国民健康保険などに加入する必要があります。

障害年金について申請先、相談先は以下になりますのでお問い合わせください。
申請先:お住いの市区町村役場、年金事務所 
相談先:お住いの市区町村役場、年金事務所、年金相談センター、ねんきんダイヤル、医療ソーシャルワーカー、共済組合、社会保険労務士

当院でも条件を満たした患者様について、疾患によりますが障害状態確認届(診断書)の作成は可能ですので、ご遠慮なくご相談ください。